ユニットバス、システムバス、在来工法の違いと特徴
浴室のリフォームを検討する際に、最初の分岐点となるのが「どの施工方法を選ぶか」です。主にユニットバス、システムバス、在来工法の3種類が存在し、それぞれ施工性や価格、デザインの自由度、耐久性といった面で大きな違いがあります。
以下のように、それぞれの特徴を明確に比較してみましょう。
項目
|
ユニットバス
|
システムバス
|
在来工法
|
工事方法
|
工場で製造されたパーツを現場で組立
|
各部材をパッケージで選択・施工
|
現場で職人がすべて造作
|
工期
|
約3~5日
|
約4~6日
|
約7~10日
|
デザイン自由度
|
少ない
|
中程度
|
高い
|
防水性
|
高い
|
高い
|
防水処理の精度に依存
|
断熱性
|
高い(断熱材付きが多い)
|
高い
|
工法次第で変動
|
費用相場
|
70~120万円
|
80~150万円
|
100~200万円以上
|
メンテナンス性
|
高い(掃除しやすい)
|
高い
|
部材により異なる
|
バリアフリー対応
|
標準装備が多い
|
対応可能
|
設計による
|
ユニットバスは最も一般的な施工方式で、LIXILやTOTO、タカラスタンダードなどが多彩なラインナップを展開しています。施工がしやすく工期も短いため、マンション・戸建てを問わず幅広く導入されています。防水性や断熱性、掃除のしやすさに優れ、快適性を重視する家庭におすすめです。
在来工法は、壁や床、浴槽を現場で職人が造作する工法です。タイルや天然石、檜風呂など自由な設計が可能で、個性的なデザインを求める方に適しています。ただし、防水処理の精度によっては水漏れのリスクがあり、工期・費用ともに大きくなりやすい点に注意が必要です。
システムバスは両者の中間に位置し、ユニットバスのパッケージ性に加えて部材の選択肢が豊富です。浴槽のカラー変更や壁材の素材変更など、一定のカスタマイズが可能で、自由度と機能性のバランスを求める方に適しています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、ライフスタイルや予算、求める機能に応じた選択が重要です。特に以下の点を比較基準にするとよいでしょう。
- 工期を短く済ませたいか
- 断熱性や防水性など機能面を最優先するか
- デザイン性や素材へのこだわりが強いか
- 長期的なメンテナンスの手間を考慮するか
- バリアフリー対応の必要性があるか
また、マンションか戸建てかによっても導入可能な方式が異なります。マンションでは構造制限があるため、在来工法の導入が難しく、基本的にはユニットバスかシステムバスからの選択となります。戸建て住宅であれば、在来工法を含めた柔軟な設計が可能になりますが、事前の現地調査や構造確認が不可欠です。
選定時にはショールームの見学やメーカー比較も非常に重要です。視覚的に製品の質感を確かめられるだけでなく、施工可能なサイズやオプションの有無、断熱性能の実演なども体験できるため、選択の失敗を防ぐ上で有益なプロセスとなります。
工事後の生活をイメージしながら、自分たちにとって必要な機能とコストのバランスを見極め、納得のいく浴室空間を実現させることが、後悔しないお風呂リフォームにつながります。リフォームは10年単位で使い続ける大きな選択であるからこそ、施工方式の違いとその本質的なメリット・デメリットを深く理解しておくことが重要です。